• 自分が何をしたいのかわからず、夢中になれる何かを探していた

中・高生時代について

自分が何をしたいのかわからず、夢中になれる何かを探していた

社会(世界史) / 岡部 睦史

Q1 先生は中学生・高校生時代どんな生徒でしたか。

振り返ると、中学生時代の私は、自分が熱中するものが見つからず、無為に過ごしていた印象です。当時、一番仲がよかった友人が大の映画好きで、友人に誘われるままに、毎週のように映画館に行っていましたが、その友人のように映画にのめり込むことも出来ず、映画館に足繁く通う割には、自分を夢中にしてくれるものとして映画を捉えることも出来ずいました(逆に、その友人は今でも生活の中心に映画があって、年間300回以上は映画館に行くほどです)。

高校時代には、軟式野球部に所属して、野球漬けの日々でしたが、これも夢中で取り組んでいたのかと言われれば、そうではないような気がします。所属していた軟式野球部は、部員数が少なく、その分、部員間の仲がとても良かったです。だから振り返ってみると、そうした仲間と過ごす時間が楽しくて、部活をしているだけで、純粋に野球に熱中していたとは言い難いのです(でも、決してそこで過ごした時間が無駄だったとは思っていません。今でも部活後に野球部なのになぜかみんなでサッカーをしたことや、ランニングをサボって近くの海で遊びに行ったことなどを数え切れない楽しい時間が思い出されます)。

結局、思い返すと、中学・高校生時代は、自分が何をしたいのかわからず、鬱々として、夢中になれる何かを探していた時期だったと思います。そうした鬱屈した思いがあった分、大学で歴史学の面白さに気づいたとき、深く学問に熱中できたのかもしれません。

Q2 先生の中学校・高校時代の今に繋がる思い出を教えてください。

特に高校生時代の私は、本が好きで、部活が無い曜日などは、図書館に通っているような生徒でした。図書館の開架をくまなく見ては、面白そうな本を毎週のように物色していました。ただ正直に言うと、少々恥ずかしい話なのですが、当時の私は本当に本が好きだったわけではなくて、おそらく図書館の雰囲気が好きなだけだったのだと思います。私が足繁く通った図書館は、自宅から自転車で30分程の距離にあり、海の近くにありました。海沿いの道を潮風に吹かれながら自転車を走らせることも好きでしたし、お目当ての図書館の建物自体も大正期から建設された洋風の建物で、とてもレトロな感じがして好きでした。図書館の内部も開架室の天井の梁がアーチ状になっていたり、ステンドグラスの装飾があったりと趣きがありました。そうした歴史のある図書館の雰囲気が、私は堪らなく好きでした。そして、開架室の片隅にある椅子に座りながら、いつも本を読んでいたことを覚えています。

こうして改めて書くと、ただ雰囲気に酔っているだけの情けない高校生時代に思えて、とても恥ずかしいのですが、でもそうして過ごした時間は振り返ってみると私にとって、とても重要な時間だったと最近思えるようになりました。当時の私は、将来を考えることもなく、ただ部活の仲間と遊んでいるだけの生徒でした。でも、理由はどうあれ、図書館通いが、私に様々な分野の本に接するきっかけをつくってくれました。そして、そうした時間の中で、自分の興味関心が、徐々に歴史学・哲学などの人文社会諸科学に傾いていき、漠然とですが、そうした学問を大学で学びたいと考えるようになりました。

 

岡部 睦史

社会(世界史) / 岡部 睦史