理科 春の地学野外巡検旅行
2012.03.25
3月20日(火)から23(金)にかけて,理科では,近畿・東海地方を巡る春休みの地学巡検旅行(3泊4日)を行いました。実際に教科書に出てくるような場所を,自分の足で歩いて,直接,目で視て,体で感じた4日間でした。基本的に電車で移動しましたが,東京と違って電車の待ち時間が長かったり,長時間の乗車だったりしました。無駄だと言えば,その通りですが,時間をかけて苦労をして,巡検した経験はとても貴重だと思います。ハードな移動にも関わらず,皆,体調を崩すこともなく,無事に帰京することができました。お疲れさまでした。巡検レポート頑張って書きましょう。
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1日目(20日)
終業式の翌日に東京を出発し,京都・龍谷大学深草キャンパスで行われた天文学会のジュニアセッションに参加しました。ジュニアセッションは,天文学を研究している全国の高校生が研究発表を行うイベントです。地学部の天文班の生徒は新たな刺激と情報を得ることができ,他の生徒もテストだけでは決まらない他校のレベルの高さを感じたでしょう。この日は京都に宿泊。
朝の新幹線から見た富士山。やはり寒い時期の新幹線からの富士山は最高です。
京都タワーから京都盆地の地形を観察。山に囲まれた盆地を感じたでしょうか。
天文学会ジュニアセッションへ参加。とてもレベルの高い研究発表に感銘を受けました。
研究発表のポスターを前に,他校を交流する生徒。真剣な眼差しに期待が膨らみます。
2日目(21日)
午前中は,京都大学を訪れました。原発反対をはじめ多くの看板が掲げられ,大学の雰囲気を感じることができました。大学では,京都大学大学院 人間・環境学研究科の石川尚人教授にご協力いただき,先生の研究紹介を聴き,実験室を見学させていただきました。岩石の磁性を測る簡単な実験をしたり,38億年という年代測定値を持つナピア岩体の岩石を触らせてもらったりと,とても有意義な時間を過ごしました。午後は,一気に琵琶湖の湖西地方に移動。雪をかぶった比良山系の山並みが美しい滋賀県高島市の針江を訪れました。ここでは,比良山系で浸みこんだ地下水が湧き出し,その水が人々の暮らしを豊かにしています。湧水を「生水(しょうず)」と呼び大切にする暮らしぶりを,「針江生水の郷委員会」の方々の案内で見学させてもらいました。日本ではあまり取り上げられませんが,地球規模の水不足が懸念されています。その中で水を大切にする暮らしぶりは,我々も見習わなければならないと感じました。滋賀県長浜市に宿泊。
早起きメンバーで早朝の鴨川を散歩。水質を調べる熱心な生徒も。
京都大学正門で記念撮影。原発反対の看板があり,大学の雰囲気を感じました。
京都大学大学院 人間・環境学研究科の石川尚人教授の研究紹介を聴く生徒。岩石磁気に関するお話を聴けました。
続いて,石川先生の実験室で岩石の保持する磁性を測る機器や簡単な実験を見学させてもらいました。
石川先生から38億年前の岩石が見つかっている南極ナピア岩体の岩石を触らせてもらう生徒。博物館級の岩石を触れるなんて幸せです。
午後に訪れた滋賀県高島市の針江。清らかな流れが迎えてくれました。難しい事はともかく,美しいと感じることが最も大きな勉強だと思います。
冬にも関わらず水を触ったり,水質を調べたりする生徒。とてもきれいでした。
地元の「針江生水の郷委員会」の方々に案内してもらい,針江の人々の水と共に生きる暮らしを見学しました。川端(かばた)を見学しているところです。
3日目(22日)
昨日は,自然の恵みを感じる経験をしました。今日は,逆に自然の恐ろしさを知ることから始まりました。午前中に訪れた岐阜県本巣市の根尾谷断層では,濃尾地震でできた断層による地形を目の前にして,地震とその恐ろしさを感じました。1世紀以上たつ今でも,その崖ははっきりと残されています。自然の恩恵と恐ろしさの両方を学んでくれればと思います。午後は,同じ岐阜県にある金生山を訪れました。この山は,恐竜よりももっと昔の古生代の石灰岩でできています。古生代に海でできた石灰岩がプレートにのって長い旅をして,日本列島にくっついたもので,古生代のフズリナやウミユリの化石が取れます。金生山化石館では,その石灰岩をサンドペーパーで磨き,化石などをきれいに見えるようにする実習をさせてもらいました。その後,名古屋まで移動して宿泊。
根尾谷断層で記念写真。後ろに見える土手のような部分は,断層でできた崖です。
その崖に実際に登っているところ。一瞬の地震により最大6mのずれが生じました。恐ろしい。
先ほど見た崖(断層)の部分を掘って保存してある地震断層観察館を見学。真ん中の色が変わっている部分が断層ですが,その上に立つ生徒と比べれば,その凄さが分かります。
金生山化石館で説明を受ける生徒。古生代に海で作られた岩石が,なぜこんな山の中にあるのでしょうか。このことが理解できれば,地球のダイナミックさがわかります。
金生山の石灰岩を磨く生徒。古生代の化石であるフズリナがきれいに見えたでしょうか。
4日目(23日)
三寒四温に変わりやすい天気。春は不安定な天気です。その割には天候に恵まれましたが,最終日は冷たい雨となりました。名古屋から中央本線に乗り,長野県上松にある寝覚ノ床を訪れました。みぞれっぽい雨の降る中でしたので,ゆっくり見学はできませんでしたが,花こう岩を削り込み,我々よりはるかに大きな岩石を運ぶ木曽川の力を感じたでしょうか。この後は,さらに中央本線を走破して,新宿へ帰りました。途中,すべての駅で気圧を測定したグループもあり,結果が楽しみです。教科書でも教えている事もたくさん出てきましたが,それでは学べない多くの事が学べたのではないでしょうか。お疲れさまでした。
名勝「寝覚ノ床」で記念写真。あいにくの雨で川原にも降りられませんでした。
雨でガスがかかり,また違った雰囲気でした。花こう岩を木曽川が削り込んだ地形です。
川原のレキが大きい。すぐそばには寄れませんでしたが,長径3〜4m程のレキも転がっていて,いかに河川の運搬能力が高いかを感じられます。