豊﨑由美さん講演会「勝てる読書」
2016.06.09
先日6月4日(土)放課後、図書館では書評家の豊﨑由美(とよざきゆみ)さんを講師にお招きし、読書に関する講演会を開催しました。80名を超える生徒が豊﨑さんのあふれる情熱と笑いに満ちたお話しに耳を傾け、会場は終始おだやかな笑いと熱気につつまれました。
「読書は自分がいかに狭い思考の『檻』の中で生きていたかを教えてくれる」
「本にはその本と出会うのにふさわしい『時分』がある。若い頃読んで面白くないと思った本でも、大人になって読むと面白く読めるようなことがある。だからちょっと読んで面白くなかったら、まだ『時分』が来ていないんだな、と思ってすぐに今面白いと思える別の本を読めばいい」
「まだ大人より快楽原則に忠実なはずのみんなは『最初の一冊』に出会えたらきっと、次から次にどんどん本が読みたくなるはず」
「本屋さんにたくさん通っていると、だんだん自分が本を選ぶというより、本が自分を選ぶ、自分が『本から呼ばれる』感じで面白い本が浮き上がって見えてくる」
など、豊﨑さん自身の体験に根ざした読書論、選書論はとりわけ刺激的で印象深いものでした。
また、これから出版される作品(『アウシュビッツの図書係』)も含め、すこぶる個性的で鮮度の高い小説をたくさんレビューしてもいただきました。時に作品を具体的に引用し、その場で読み上げることで場内が爆笑の渦に巻きこれる(木下古栗『グローバライズ』や町田康『ギケイキ』など)こともしばしばありました。豊﨑さんは一級の書評家であると同時に、一級の朗読家でもあるとお見受けしました。なお、当日ふれられた本の紹介リストは現在、図書館にて配布しております。
参加した生徒のアンケートからは次のような声が寄せられています。
「自分が本を選ぶのではなく、本が読むべき『時分』を選ぶということについて共感できた。これは本だけに限らず友人関係などについても当てはまるのではないかと思った」(高校生)
「紹介された本のセレクトも、紹介の仕方も非常にエキサイティングでとっても楽しく聴かせてもらいました。この方と個人的にお話しできる横倉先生がめちゃくちゃうらやましいんですけど」(高校生)
「『本を読む人は大きな事件が起きた時に流されないでまず立ち止まって考える』など、座右の銘にしようと思う言葉がたくさんあり、とても有意義でした」(中学生)
「今までお母さんにすすめられて読んだ本は面白くないことが多かったのですが、話を聞いてその本をまた読んでみたいと思った」(中学生)