進路指導・キャリア教育について

2008.07.01

  • 教科

4年生対象に、一学期に2回にわたってキャリア教育の一環として、次のような講演会が行われました(講演内容は、学校便りアーカイブをご覧下さい)。
1回目(実施:5月10日(土))の講演者は、本校OBであるデジタルハリウッド大学の杉山友之学長です。演題は「人類社会を新たな文化へ旅立たせるデジタルコミュニケーションの世界——CoolJapan日本の現代文化が世界を変える——」でした。
2回目(実施:6月20日 (金))の講演者は、一年の大半をオーストラリアで写真を撮り続けているフォトグラファー相原正明氏です。演題は「フォトグラファーという生き方」でした。
両方の講演ともに、生徒は目を輝かせて好奇心旺盛に身を乗り出して聴き魅入っていました。
皆さんの中には、進学校である海城中学高等学校でへー!異業種だね!という思いもあるかもしれません。このような講演は、生徒が主体的に進路選択をしていくための視野を広げる観点からも有効な手段の一つです。将来国家・国際社会で貢献する有為な人材の育成の根幹にかかわるものです。受験校でなく進学校である証、即ちKSアイデンティティが垣間見られました。
・さて、キャリア教育とは、一体何でしょうか。
歴史的に見るとキャリア教育という言葉は、中教審の1999年の「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」の答申に初めて登場しました。それによりますとキャリア教育とは「望ましい職業観・勤労観及び職業に関する知識や技能を身に付けるとともに、自己の個性を理解し、主体的に進路を選択する能力・態度を育てる教育」と定義されています。
今や学校教育の世界では、小学校から大学までキャリア教育真っ盛りです。義務教育では、地域のNPO法人のボランティア団体の支援などを受け、また大学では57%以上が、キャリア教育を社会人の協力を得て「キャリアデザイン」などの科目として実施しています。
・キャリアとは一体どういう意味でしょうか。
英語のCarry、運ぶと言う動詞と関係があるようです。ラテン語で車道、車が通った後にできる軌道のことだそうです。とすると自分自身をどう運ぶのか、どう生きるのか生きたのかの集積がキャリアと言うことになりそうです。
・何故、今教育に、キャリア教育が必要と言われるのでしょうか。
それは、働くのが当たり前であった時代から、豊かな社会になって一体どうして自分は働くのだろうか、この職業に就くのだろうか、と言うような疑問が湧いてきたことと、少子高齢化社会や産業・経済の構造的変化、雇用形態の多様化・流動化などを背景に将来に対する不透明さの増大、進路を巡る環境の大きな変化があるためです。
キャリア教育に求められているのは、このような状況の中で、その波をもろにかぶるであろう子ども達が、明確な目的意識を持って、日々の学業生活に取り組み、激しい社会の変化に主体的に対応できる能力やしっかりとした勤労観、職業観を身に付け、それぞれが直面する様々な課題に柔軟かつたくましく対応し、社会人・職業人として自立していくこと、即ち「生きる力」を身に付けることにあります。
本校も、全ての教育活動がキャリア教育の側面を持っていることを認識しつつその充実に努め、また、必要に応じて講演会など外部の教育力をいただきながらグローバルにものごとを捉え考えるリーダーを育ててまいりたいと思います。
校 長 水 谷  弘