校長室からメッセージ  7

2008.02.08

 
《 入 試 》
 
今は寒明けの一番寒い時期か。
 朝、自宅を出るときは辺りはまだ暗い。夕方、帰り着くころはもう暗くなっている。本校で中学校と高等学校入試の中間に当たり、自宅に少し早めに帰る機会があった。
 玄関横に植えてある小さなセンリョウの木にこれまで多くの赤い実が付いていたのに、その日見ると、赤い実が殆ど付いていなかった。例年のことであるが、多分ヒヨドリなど小鳥が目ざとく見付けて啄んでいったのだろう。暮れから正月にかけて楽しませてくれたことを私に対するプレゼントと考え、これまで遠慮して食べなかった小鳥たちにお礼を言うべきか。
 1月の中頃から庭の椿の一種であるワビスケの花が咲き始めた。ワビスケはもう一本玄関の横にも植わっている。こちらは今年は花芽を付けていない。昨年秋、いつの間にかアメリカシロヒトリがとりついたらしく葉が一枚も残らないくらいに食べられてしまった。今は葉がついてはいるが元気がない。横を朝晩通過しているのに、毛虫がとりついていることに気がつかないうちにそうなってしまった。ワビスケには気の毒なことをした。今年は気を付けてみてやろう。
 
 季節は確実に春に向かって動いている。
 間もなく梅の花の香りがどこからともなく漂ってくる季節に入ってくる。
 
 在校生にとっては、2月の前半は、焦点を定めにくい時期である。1日から4連休になり、ほぼ一週間後に2連休と続く。学校としては、在校生にできるだけ授業時間を確保する措置を講じた結果でもこうなってしまう。学校としては新入生を迎えるための大きなポイントである。在校生は切り替えと集中をしっかりやって欲しいと願う。
 受験する諸君にとっては厳しい受験勉強期間を超えてきて、総決算の結果を出す日である。
 この入試で思うことが一つある。
 入学して、1ケ月半ばかり経つと定期考査として中間考査がある。 入試で、かなりな高得点を得て合格した生徒の中に、何故かその考査にいい点が取れないことがある。その後の在学中の試験に高得点をとれないことがある。そういう人は極く僅かであるが存在する。
 これは私が思うに、受験勉強時代に目標の設定が間違ったのではないかと思う。あの入試さえ突破できれば、その後はバラ色のゆったりした人生が待っている。とそう思い込んで、遮に無に頑張るのである。突破しさえすればいい。
 かって、ある超難関大に「五月病」と呼ばれる現象があってマスコミの話題になったことがある。この現象とよく似ているように思う。
 人生80年時代に、最終的な目標は社会の一員として、自らの能力をぶつけて社会をよくしていこうとすることにあるのではないか。入学試験の突破は、その一過程にあるのだ。入試が最終の目標ではないと思う。
  
 校長  和 田 征 士