目撃
2007.11.27
先日下校時に次のような出来事を目撃した。前方4、50メートル先を中学生が5、6人そろって駅に向かっている。その様子は二人が仲間の方を向いて後ろ向きに歩いている。楽しそうな様子だが、ほぼ円陣が移動しているといった趣である。声高な声が私の所にも届いてくる。当然歩みは遅い。私との距離はどんどん近くなる。後ろ向きの一人が私に気がついたようだ。もう一人に声を掛け、回れ右をして進行方向を向いて歩きだした。それでも賑やかなおしゃべりは続いている。始めから前をむいている生徒は私に気づいていないようだ、相変わらず歩みは遅い。追い越し際に声を掛けた「道路は君たちの遊び場ではないよ。人に迷惑を掛けないように歩きなさい。」すると「すみません」という言葉が返ってきた。
彼らの行動を見ると、この歩き方が望ましいものでないことを知っている。しかし、仲間うちの楽しさに負けて円陣移動の歩き方をしてしまっている。頭の理解と実際の行動とがかけ離れている。「道いっぱいにひろがって歩くのは他の人に迷惑だ」これは分かっている。ところが今の自分たちの姿がその状態であることに気がつかない。
中学時代の親しい友達とのワイワイとしたおしゃべりは楽しい時間のひとつだと思う。彼らには気の毒な面もある。本校の生徒はさまざまな地域から通学している。学区のある中学ならば、一度帰宅して待ち合わせて一緒に遊ぶことも可能だろう。本校の生徒にはほぼ無理である。新大久保の駅でも内廻り、外廻り、利用する電車が違う生徒が、電車を見送り、ベンチで話し込んでいる姿を目撃することもある。いたずら気分もあるのか、時に自分の利用する電車の側に友達を引っ張り込もうと綱引きのようにひっぱり合いをしている様子を目撃することもある。ホーム上でのこのような行為は当然注意の対象になる。
言い換えれば、マナーは頭の理解だけでは足りない、日常の立ち居振る舞いのなかで実践されて初めてマナーと呼べるのだろう。
教頭 五十嵐 寛