2021数学科リレー講座【5・6日目】
2021.08.30
2021年度リレー講座後半のリポートです。
【5日目】
5日目は、4日目に学んだ対角化を利用して、今回のリレー講座の生徒募集の際に予告していた次の問題に取り組みました:
「ある星の天気は晴れか雨しかない.この星では,晴れだった日の翌日に晴れる確率は60%で,雨だった日の翌日に雨が降る確率は30%である.今日,この星が晴れだったとき,100日後の天気はどうなっているだろうか?」
数学的にはマルコフ連鎖の問題ですが、推移図式から推移確率行列を求め対角化しn乗を求め極限を考える、という一連の作業と奮闘する中学生の姿を頼もしく思えました。また、最後には行列のスペクトル分解とn乗の関係を簡単に述べ、その美しさを力説しました。
以下、生徒の感想です。
・昨日固有値を習ったときは難しくて、役に立つのか疑問に思った。今日は、天気などの確率を使うときに便利だと知った。行列は奥が深いと思った。(中1)
・今回のKSプロジェクトでは、中学では習わない行列を学んでいる。5回目の今日は行列のn乗とその応用というタイトルで、行列のn乗を使って、確率を求めた。最初はまどろっこしい計算をしていたが、授業の最後で公式があることを先生が教えてくれた際、そのような公式を考えられる人がすばらしいと思った。まだ6日目があるので、6日目でも新しいことをたくさん学びたい。(中2)
・特に後半はとても難しくてよく分からなかったが、前半の行列を利用した天気の問題を解いて、ただの( )の中に数を並べただけのものがどう役に立つかのかということを体感できて、おもしろかったです。(中3)
【6日目】
最終日は二部構成でこれからの展望について解説しました。
前半はtraceの重要性と、元々はケーリーが導入したと言われるクラインの四元群を中心に群論の初歩について説明および演習を行いました。後半は1次変換を通して行列の正体を探り、最終的にはケイリー変換や四元数にも触れました。
以下、生徒の感想です。
・今回の講座で行列について学び、定理や拡張が難しいと感じた。大学でもっと詳しくやるということなので今回の講座の内容を復習し、頭の片隅に入れておきたい。(中3)
・大学で習うレベルの「行列」という分野を6日間で分かりやすく先生が教えてくれ、大人になったときに決して無駄にはならないものだと思いました。3日目あたりで分からないことが出てきたのですが、質問をしたり、友達と話し合ったりして、大体の内容を理解することができました。私は数学が得意な方で、1学期の普通の授業の進行が遅く感じていましたが、この講習は高度なレベルであったため、とてもおもしろかったです。(中1)
・本来自分たちの学年では習わない行列という分野と触れ合うことができ、元々数学が好きだったので、とても良い機会となりました。今後、数学の問題を考えていくなかで、行列や今回学んだことを活かして、話を広げていきたいと思います。理解するのは時間がかかったが、とても興味深く楽しい講習となりました。(中1)