数学科だより
2018.01.01
海城プレスをご覧の皆様、明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。
新年の本欄では、昨年後半から年末までの数学関連の話題をご紹介いたします。どうぞご一読ください。
1.夏期数学科リレー講座開催
すっかり夏の風物詩として定着した本講座が8月末の一週間、70名を超える受講者が集い行われました。今回は「フラクタル」にテーマを求めました。初日は山陽小野田山口東京理科大学の井上啓教授をお迎えして基調講演をしていただきました。開講時の「整数でない次元とは一体どういったことだろう?」などの受講者の疑問ははや2日目には氷解していました。後半は理解を深めるためにCGを多用。多くの受講者からこの方面の基礎についてよく理解できたと好評でした。
2.津山高専代数幾何研究会に本校中学生が参加
倉敷で行われたこの集会で本校数学同好会の中3生の2人が発表をさせていただきました。当日は、一年越しの本研究の共同研究者である地元の清心女子高校のお二人もかけつけられ、会終了後は美観地区で論文の準備についてミーティングが行われました。激励を頂きました津山高専の松田修教授、そして斯界の第一人者でいらっしゃる飯高茂博士に厚くお礼申し上げます。
3.提携校新モンゴル高校よりアルタンゲレル数学科長がご来日
11月上旬の一週間滞在され、中3生への授業実施、教員セミナー、数学部訪問など精力的にご交流頂きました。とりわけ授業実施では、“相加平均相乗平均の不等式”を詳説頂くとともに、同不等式に対する“アルタンゲレル流”の新証明なども御披露頂き、連日、生徒からの拍手が鳴り止みませんでした。時に通訳の方に入っていただきましたが基本的にモンゴル語で授業頂きました(本校生はモンゴル語はできません)が,数式を明示することで十分な意思疎通が図られていたことを見るにつけ,“数学が教育のグローバル化の先兵”との認識を新たにした次第です。
4.新城門プロジェクト始動
今年度より開始された“KSプロジェクト”の一環として、本校と新モンゴル中高の、ともに将来、日本の国公立医学部を目指す生徒が数学学習を主軸に据え、医療ディスカッションを通じて三年計画で切磋琢磨する月例セミナー「新城門プロジェクト」が11月に始動しました。
第1回は本校柴田校長からの開講への激励、パリご出張中のナランバヤル新モンゴル高校校長からのビデオメッセージをはじめ、本校教員と来日中のアルタンゲレル先生によるチームティーチングが行われ、予定の2時間が瞬く間に過ぎました。真剣な眼差しで講座に参加し、明日の医療人たらんと志を熱く語り合う両国の生徒が実に頼もしく思えました。ひとかたならぬお世話を頂きました在日本新モンゴル学園同窓会会長のオリギル氏に厚くお礼申し上げます。なお、本セミナーは年末に第2回目が行われました。
5.中学三年生島倫太郎君、塩野直道賞に輝く
応募総数実に一万余通を誇る数学の自由研究コンクールである「塩野直道記念」(財団法人・理数教育研究所主催)の頂点となる「塩野直道賞」を、本校中3の数学同好会会員島倫太郎君が受賞。12月17日に授賞式が行われました。今年で5回目となる同コンクール。本校はこれまで奨励賞を何度か頂戴し、実際、島君も昨年は奨励賞を頂きました。今回、一年越しの努力が結実し、晴れて金賞の栄誉に輝いた同君の研究は、数学ソフト“geogebra”を用いて立てたある幾何学の予想を肯定的に解決し定理を得るという今日的な手法によるもので、数学オリンピック日本団長である中央大学藤田教授をはじめ多くの審査員の方々に高い評価を頂戴しました。同君の益々の活躍が期待されるところです。
6.数学部(数学同好会)、IIMC2017に参加する
本年度のIIMCはウランバートル市で行われました。8月、同市より本校生がこの大会に招聘されました。モンゴル、日本、中国、ロシア連邦、カザフスタン、イランの6か国が参加(当初9か国が参加予定でした。日本とイランはオンラインによる参加)。当日のウランバートルは盛大なセレモニーが行われ、議長であるオロンログ学園バヤスガラン理事長より式典の模様が届けられました。参加者は、世界の強豪たちのすごさを実感するとともに、数学のみならず語学も武器にせねば、と力強く語っていました。
本年も本学の教育活動にご注目いただければ幸いでございます。