理科 地学部 芦ヶ久保の氷柱・長瀞巡検

2015.02.13

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2月11日(水・祝),地学部は,埼玉県秩父の芦ヶ久保周辺と日本の地質学発祥の地といわれる長瀞を訪れた.午前中は,まず芦ヶ久保の氷柱を訪れました.秩父にある三大氷柱の1つで,氷点下に冷え込むこの寒さならでは季節の風物詩ともいえます.美しい氷柱に,しばし寒さを忘れる一時でした.
午後は,長瀞に移動しました。長瀞は,東大地質学科の教授を務め,地質学の発展に貢献したナウマンが調査したことから,日本地質学発祥の地といわれています.景勝地としても有名な岩畳を荒川沿いに歩き,足元に広がる変成岩や甌穴(おうけつ)を観察しました.ここは,海底に堆積した岩石が大きな圧力や熱を受けたため,鉱物や構造が変化した変成岩が見られます.その後,少し足を延ばして,蛇紋岩や不整合の露頭を観察しました.教科書のような典型的なものが多く,また改めて長瀞を歩くことにより,自身の成長の確認や新たな理解ができたのではないでしょうか.

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芦ヶ久保氷柱に到着
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氷柱の様子1(クリックで拡大)
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氷柱の様子2 (クリックで拡大)
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会場では,地元の方が甘酒と紅茶を振舞われ,味噌田楽を加えて暖を取りました
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沢筋を流れる水と氷柱(クリックで拡大)
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長瀞に移動しました.景勝地としても有名な岩畳と秩父赤壁(クリックで拡大)
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岩畳の上の甌穴(ポットホール).これは川の流れで礫などが回転し,川底に穴をあけたものです.つまり,昔は岩畳の上を荒川が流れていて,今の荒川は侵食が進み低いところを流れているといえます.(クリックで拡大)
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実は,有名な宮沢賢治も地質学を学び,そしてこの長瀞へ地質巡検に訪れ,「つくづくと『粋なもやうの博多帯』荒川ぎしの片岩のいろ」と詠んでいます.彼の作品には地球科学が散りばめられています.
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宮沢賢治が「粋なもやう」と呼んだ片岩の模様です.地下で受ける大きな圧力により,鉱物の配列がある一定方向に並び,このような美しい縞模様ができます.自然の造形美です.(クリックで拡大)
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河原のあちこちに同じような片岩が見られます.これらは,日本列島付近の地下で大きな圧力のもと,変成作用を起こした変成岩です.それが地表で見られるのは,地球のダイナミックな変動が故です.(クリックで拡大)
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親鼻の甌穴(ポットホール).これも河川の力です.岩石は紅簾石片岩という赤みを帯びた片岩です.ここは紅簾石が世界で初めて報告された場所の1つです.
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最後に,皆野まで歩いて前原の不整合を観察しました.生徒が指をさしているところが,まさに不整合面で右下に続きますが,これを境に地層のできた時代が大きく異なります.この不整合面より左下が中生代ジュラ紀の地層(秩父帯)で,右上が新生代の地層になります.基底礫岩も見られます.(クリックで拡大)