理科 地学 福井巡検旅行(2日目)

2014.08.25

  • 理科

8月21日から23日にかけて、中1~高2の有志23人が参加し福井県、岐阜県の巡検旅行を行いました。
二日目の午前中は福井県大野市内の宿からバスで1時間ほどの所にある産地で化石採集を行いました。この産地には白亜紀前期の石徹白(いとしろ)亜層群伊月層という地層が露出しており、海水と真水が混じった汽水域に生息する生き物の化石が豊富に産出します。シジミなどの二枚貝、カワニナ、植物片など、全員合わせて100個以上の化石が採集でき、大満足の結果となったのではないでしょうか。中には魚の鱗と思われる化石を採った生徒もいました。
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化石採集の様子
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採取した二枚貝の化石
午後は大野市の「本願清水イトヨの里」での講義と大野市内での湧水観察です。大野市は大野盆地に発展した豊富な湧水をたたえる城下町であり、水と共生する生活様式など特有の湧水文化を育んできました。「イトヨ」は縄張り防衛行動や生殖行動など、特徴的な行動習性がよく知られ、高校生物でも取り上げられるトゲウオ科の魚です。冷水生の魚で、夏季でも水温十数度を超えない環境が必須です。大野市では湧水のおかげで、イトヨが生息できる環境となっており、大野市のイトヨはイトヨ属の世界分布の南限でもあることから、学術上大変貴重なものとなっています。昭和40年代以降、大野市でも、イトヨが生息する水質等の湧水環境が保全できない状態が続いたそうですが、科学的な根拠に基づいた地域合意の形成、住民協働によって、それが復活してきているのが現在の状況だということです。湧水とイトヨに関する講義を受けた後、イトヨを実際に観察しました。

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本願清水イトヨの里で館長、副館長から講義をしていただく
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イトヨの里では地下のガラス窓からイトヨを実際に観察することができる
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イトヨには、海にすみ産卵時に川を上る遡河型と、一生を淡水で過ごす淡水型がおり、大野のイトヨは後者である。比較的短期間に多様化したイトヨは生物多様性研究のモデル生物であり、全ゲノムが解読されている
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イトヨの里の外には「本願清水」がある。碁盤の目状の城下町に張り巡らされた上水道の本源が、この本願清水だったとのこと。国の天然記念物に指定されている
イトヨの里を出た後は、徒歩で大野市内の各所にある湧水地点を巡りました。心配された天気もなんとかもち、地域の生活に密着した水文化を垣間見ることができました。
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かつては城主の御用水として使われていた「御清水」。環境省選定の名水百選に選ばれている