KSプロジェクト「総合フィールド演習」大阪巡検旅行1日目
2017.08.27
8月16日(水)から18日(金)にかけて,KSプロジェクト「総合フィールド演習」の目玉である巡検旅行を「大阪」にて行いました.4月からスタートした講座ですが,これまで放課後に定期的な会合と,品川でのフィールドワークも行ってきました.その中で巡検地を議論して候補を挙げ,初めての遠方での試みでもあり,現地に詳しい教員が多い「大阪」に決めました.社会(日本史),国語,理科(地学)の教員が同行し,生徒も含めて色々な目線で「大阪」の街を歩きました.大まかにはいくつかの選択肢を生徒に提示し,彼らの意見を取り入れながら,毎晩,打ち合わせをして,柔軟にルートを決めました.また,現地でも生徒が興味を示したり,偶然,見つけたりしたことも積極的に取り入れました.猛暑の中,体調を崩す生徒もおらず,無事に終えることができ,充実した巡検旅行でした.
まず1日目の16日(水)は,大阪市立自然史博物館からスタートし,四天王寺や天王寺七坂を巡りました.以下に,巡った場所について,写真とともに報告します.
宿舎に荷物を置いて,最初は大阪市立自然史博物館の見学.入口のクジラ標本の下で記念写真.
博物館内では,大阪平野の生い立ちについて地学教員が少し解説した上で,自然に関する展示を自由に見学してもらいました.市立とは思えないくらい充実した展示でした.
上町断層の地質模型.今回は,この台地の地質や地形を押さえた上で街歩きをしました.
博物館見学後,四天王寺への参道でもある天王寺駅北口界隈から街歩きをスタート.地図を片手に現在地を把握しながら,説明に適した場所があれば,その都度,それぞれの教員からアドリブでコメントが入ります.教員からの話が多くはなりますが,生徒からの質問やコメントも出ていました.
四天王寺の参道の街並みや風情を感じながら参拝.途中,大阪城の堀があった場所で,坂になっている微地形を地学教員が言及すると,日本史の教員が「堀」のついた町名を指摘するといった具合です.
四天王寺境内の「安政地震津波碑」.参拝しても存在を知らないことも多いでしょう.1854年11月4・5日に相次いだ安政の東海地震と南海地震による犠牲者を供養し,後世に警告するために建てられました.碑に書かれている原文を読むときには,国語や日本史の先生が強くて勉強になりました.
天王寺七坂の一つである「愛染坂」.最初に博物館で見た上町台地の崖の地形を体感できる坂道です.この辺りは「夕日丘」と呼ばれ,小高い崖上から海に沈む美しい夕日が見えたようで,芭蕉の歌碑も残されていました.この後,「清水坂」,「天神坂」,「逢坂」を巡りました.
夕食後のミーティング.今日の振り返りと明日の計画を話し合いました,また,元禄の大坂の古地図を入手したので広げたところ,生徒から次々に疑問が出され,放っておいても勝手に議論しているくらい盛り上がっていました.興味のある者の集まりですが,知的好奇心の大切さを感じました.