高2生2名が塩野直道記念奨励賞を受賞!

2014.02.28

  • 数学科

塩野直道先生は、今日、伝説の算数教科書と呼ばれ、昭和10年から18年まで使われた「尋常小学算術」(通称「緑表紙」)の編纂者です。
この教科書が「伝説」とされるゆえんは、「数理思想の開発」と「日常生活の数理的訓練」を目的に掲げ、カラーの絵を多用して視覚的に数の概念を把握できるよう工夫がなされるなど、それ以前の教科書から面目を一新した画期的なものであったからです。
この教科書は世界的にも評価が高く、昭和11年ノルウェーのオスローで開催された国際数学者会議では大変な関心が寄せられた、との史実があり、現在、皆さんが使用している教科書の装丁と精神の源流がこの緑表紙だといっても過言ではない、との評が少なくありません。
その塩野直道先生を記念して創設された算数・数学研究のコンクールが「塩野直道記念」で、その第1回受賞作品の発表がさる1月23日に行われました。
東京大学総長であった吉川弘之氏を理事長とする「RIMSE(財団法人理数教育研究所)」が鳴り物入りで開始したビッグタイトルだけに、応募総数はこの種のコンクールとしては異例といえる小中高合せて実に9132件にわたりました。
そのなかで、高校生部門の賞は約10個用意されており、その審査もまず各地域(ブロック)で選考して当落を決定した後,中央審査を経て,受賞作品を決定するという厳正さでした。今回は、高校生部門は合計13作品に賞が与えられ、その中の2作品で、本校高2年の山口哲君,井上立之君が奨励賞に輝きました。
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〈表彰を受ける山口君〉


また、最終選考まで残った(敢闘賞)作品は14作品あり、そのなかにも本校高2の2名が入りました。
ところで、今回の塩野直道記念大賞は「野球の最適打順の数学的考察」の広島大学附属高等学校3年和﨑海里さん,池本陸さん,田中大貴さんのグループが受賞されました。同作品はいわゆる“モンテカルロ法”を用いた興味深い、かつ素晴らしい研究であり敬意を表します。感想や日々の研究についてもお伺いしたいところです。この大賞作品はRIMSEのホームページからも読むことができます。
ともあれ、受賞した山口君、井上君、おめでとうございました。これからも好奇心を大切にして、自分の心に忠実に数学を創造してください。
【受賞者の喜びの声】
山口哲君
塩野直道記念は数学の自由研究のコンテストで、僕は「階乗進法」というものについて研究しました。これは、1桁目で2進法、2桁目で3進法、3桁目で4進法、…と続く進法です。性質や定理、そして定理となるであろう予想も述べました。この階乗進法については、高1のときから研究していたので、とりあえずひとつの形となり、それが奨励賞に認められて嬉しいです。今回の受賞を励みとし、今後もさらに研究を深めていきたいです。
井上立之君
この研究のきっかけは、昨年度の「数学活用プレゼンテーション授業」です。
内容は、任意の線分をn等分する方法である「漸近法」に関するもので、漸化式を用いて考察しました。これを用いると、“漸近的”ではありますが,ギリシアの三大作図不能問題のひとつである「角の三等分の作図」が可能となります。
そもそも、今回の研究は小学生の時に愛用していた「折り紙」の本がきっかけであり、折り紙といえば幾何、と思われがちですが、今回、種々の事柄が代数的に判明させることができ、新鮮でした。山口哲君と同時に受賞できたことを殊更うれしく思います。
(高校2年数学担当者)