理科 地学部 天文班で行っている研究が南極・昭和基地へ
2013.11.08
先日,国立極地研究所より,地学部天文班が応募した「第10回中高生南極北極科学コンテスト−中学生・高校生の提案を南極・北極へ−」で南極科学賞を受賞したという嬉しいお電話が入りました.これにより,本校の屋上でSQMという観測機器を使って行われている夜空の明るさや光害に関する研究が,来年,その観測地点を南極・昭和基地へと広げることになりました.
天文班では,1年ほど前から,愛知県立一宮高校が核になり行っている夜空の明るさ全国調査に参加し,日本全国の1つの観測点として調査をスタートしました.光害は,人間活動に必要な照明環境において,過剰だったり不要だったりする光が周囲に及ぼす影響を指しており,動植物などの生物への影響や,交通機関・住環境など人間生活への影響が懸念されています.例えば,夜空が明るくなり,星空が見えないこともその影響の一つです.本校は,地球規模で見ても人間活動の影響が最も大きい場所に位置しており,残念ながら地学部で星空を観測するには不向きですが,それを逆手にとれば光害の実態を調べるのに有効な場所ということになります.さらに,それと対照的な場所が,今回,観測を行うことになった南極・昭和基地で,最も人間活動の影響が少ない場所と考えられます.この両極端な場所を同時に観測することにより,光害というものを研究しようというのが今回の提案でした.
11月末に出発する第55次日本南極地域観測隊にSQMを預け,未知の領域での観測を行える予定になっていて,ここ最近は,岐阜まで日帰りで研究発表に出かけたり,国立極地研究所を訪れて打合せをしたりしています.準備に追われながらも,面白いという好奇心からとても楽しみです.また,日本と南極というダイナミックな地球を実感できる観測に,地学(地球惑星科学)分野の醍醐味が詰まった贅沢な観測となりそうです.とても幸運なことですが,積極的に外部に出かけ,情報を発信・収集し,地道な観測を継続させてきたこともそれを手伝っていると思います.科学的にという面だけではなく,精神的にも得るものの多き学びの場となることを期待しています.
新宿の夜空を観測している本校屋上に設置したSQM.背景に都心のビル群が立ち並びます.
10月29日,11月7日と国立極地研究所にて,55次隊の方々と打ち合わせをしました.
*関連ページ
国立極地研究所 第10回中高生南極北極科学コンテスト:http://www.nipr.ac.jp/juniorcontest/
国立極地研究所 新着情報:http://www.nipr.ac.jp/info/notice/20131016contest.html
JST科学部活動振興プログラムHP新着情報:http://www.jst.go.jp/cpse/kagakubu/bknm.html