マスフェスタトリオ揃い踏み

2013.03.11

  • 数学科

3月10日の午後、越中島の東京海洋大学にて、「日本フィボナッチ協会」第11回研究集会が開催されました。
これはその名の通り、フィボナッチ数列に関する研究の講演を中心にプログラムが組まれるものです。
本年は、宇都宮大学教授の大関清太先生によるフィボナッチ国際会議ハンガリー大会のご報告や、学習院大学教授の飯高茂先生のご講演など、計17の講演が行われ、内、3つは高校生による講演でした。
ここではこの3人の高校生(いずれも昨夏の「マスフェスタ」参加者です)の講演についてお伝えいたします。
まず、本校高1の恩田君が、昨年の本集会参加に引き続き、「互除法とフィボナッチ数列について」の講演発表をし(写真1)、本校の研究仲間が激励にかけつけました(写真2)。また、本校と数学交流会を行っている、本欄でおなじみのYSFHの増田卓斗さんが「ペル方程式の解の視角化」(写真3)について講演。そして編集子が昨年、SSH発表会に寄せて頂き、その発表に感銘を受けた清真学園の井上滉士さん(写真4)が「曜日を求める公式」で講演をされました。 

(写真1)

(写真2)

(写真3)

(写真4)


恩田君、増田さんの研究については本欄で既報ゆえ、今回は井上さんの見いだした公式についてお伝えします。
この「井上公式」は、従来知られている曜日を求める公式であるツェラーの公式の欠点を補う完全版です。
一例を挙げると、西暦1年1月1日は、ツェラー公式によれば月曜日となりますが、井上公式によれば日曜日となります。果たして、東京天文台の発表によれば、これは井上公式に軍配があがります。
ところで図らずもこの日は、この会場である越中島界隈をはじめとする東京城東地区が火の海と化した東京大空襲から68年目にあたります。聴衆から、「1945年3月10日は何曜日だったのですか?」との質問があり、これは井上公式によれば、土曜日だったそうです。
数学に打ち込める平和な今の世を思いつつ、この高校生3人(写真5。左から恩田君、増田さん、井上さん)の前途を大いに期待すると同時に、彼らに続く中高生の出現が待望されます。
最後に、種々お世話を頂きました日本フィボナッチ協会会長であり、名著の誉れ高い「数学の花束」(岩波書店)の著者でもいらっしゃる東京海洋大学名誉教授の中村滋先生に深く感謝申し上げます。
有難うございました。
(数学科教員)

(写真5)