新築工事 進捗報告(10月13日)

2020.10.13

本日の工事報告です。

 

まずは現在の全体写真がこちらです。

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複雑すぎて、ぱっと見ただけでは何が起きているのか分かりませんよね。

ただ、以前は場所によって深く掘れていた所もあったのが、全面的に同じ高さになってきたなぁってことは感じて頂けるかと思います。

 

地下の基礎工事を始めたばかりの頃と見比べるとよく分かりますので、その頃の写真をもう1度。

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そして現在の写真をもう1度。

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いかがでしょうか?

だんだんと地上に近づいてきているのがお分かりいただけると思います。

現在の工事工程は、1Fの床ができあがる1歩手前といったところです。

 

今回のご報告で注目していただきたいのが下の写真の中央辺りに見える銀色の部分です。

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これ何だかわかりますか?

この銀色に見えているものは「フラットデッキ」と呼ばれる床用の型枠です。

さらに近くで見るとこんな感じです。

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「型枠?」

と思われた方もいるのではないでしょうか。

確かに、以前、基礎工事の時に登場した床の型枠は山吹色のこんな感じのものでした。

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どちらも役割は同じ、床の型枠です。

木材か鋼材かの材質の違いは別として、大きく違う点があります。

それは何かと言いますと、フラットデッキは下から支える支持材がいりません(ある程度のスパンまで)。

以前のご報告で、このような写真をご紹介しました。

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山吹色の型枠は、このような下から支えるための支持材が組まれて、その上に型枠を貼っていくことをご紹介しました。

フラットデッキだとこれが必要ないんです。

なぜなんでしょうか?

デッキの裏側を見せて頂くと、こんな感じでした。

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裏面には、リブと呼ばれるのですが、補強材が取り付けられているのが分かります。

フラットデッキ自体は1mmくらいの厚さなので、いかに鋼板と言えどもある程度の荷重がかかると曲がってしまいます。

しかしこのリブで補強されることで、下からの支えがなくてもデッキの上を人が歩いたり、その上にコンクリートが打設されても、その重さに耐えることができるんです。

 

更に、フラットデッキは型枠ではありますが、コンクリートが固まった後も取り外さずにそのまま残しておくことができるんです。

前回のご報告で「だめ穴」のご紹介をしました。

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床のコンクリートができあがった後は、この「だめ穴」から人が入って、中にあるものを解体して取り出す必要があると説明しました。

とても大変な作業です。

 

もう既にピンときた方もいるかもしれません。

そうです、フラットデッキであれば、デッキ自体の解体も要りませんし、下から支えるための材料もないので、それを撤去する人手が要らなくなるんです。

なんて合理的なんでしょうか。

じゃあ、もう全部これでいいじゃんって感じですが、そうでもないそうです。

まさに今回の工事でもそうでしたが、ピット部分などは通常の型枠でした。

それは、ピットは湿気が多く、フラットデッキにしてしまうと、錆びてしまう恐れがあるそうです。

また、ピット全体を水槽のように使うケースがあるのですが、その場合には6面全てに防水のコーティングなどを行います。

そんな時、フラットデッキではうまくコーティングができないそうなんです。

んー、また1つ勉強になりました。

 

ちなみにフラットデッキですが、そのまま残置させるため「捨て型枠」とも呼ばれるそうです…

捨てコン、だめ穴に続く、捨て型枠。

またしても出てきましたねネガティブなネーミング。

どなたか業界の方、是非ポジティブな名前に変えてあげてください。

 

では、フラットデッキが何か分かったところで、実際の取り付け風景を見させて頂きましょう。

今回もお世話になったのは大工の阿部さん。

阿部さん、お忙しいところいつもありがとうございます。

 

まずは一番端の位置を決めます。

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ここで注目していただきたいのは、ちゃんと阿部さんが安全帯を親綱にひっかけて安全を確保しているかどうかではありません。(もちろん阿部さんは安全帯をちゃんとひっかけていました)

垂直方向の型枠から少しだけデッキがはみ出しているのが分かりますか?

5〜10mm程度だそうですが、拡大するとこんな感じです。

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これは阿部さんが大雑把な性格なわけではありません。

ちゃんと理由があります。

鉄筋が見えている部分が壁と梁になる所なのですが、この後、そこにコンクリートが流し込まれます。

そこがコンクリートで満たされると、デッキのはみ出した部分がコンクリートに引っかかると言うか食い込む形となります。

そうなることで、今は壁と梁の型枠にデッキが乗っている形となっていますが、型枠を取り除いてしまってもデッキが落下しなくなるんです。

イメージできますかね?

うまくお伝えできず申し訳ないのですが、そういった理由があるんです。

 

そして、端が決まったら、まずは全体的にデッキを敷き詰めます。

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これがポイントだと阿部さんはおっしゃっていました。

端から1枚ずつ固定していってしまうと、最終的に大きく歪んでしまうことがあるそうです。

そのため、まずは全体的に敷き詰めて、バランスを整えてから最後に固定することがポイントだそうです。

 

デッキのサイズは、あらかじめ型枠からはみ出すように計算されて、加工されています。

しかし、垂直方向の型枠も真っ直ぐそうに見えて、必ずしもそうではないようで、先ほどのひっかかり部分がうまくはみ出さないこともあるみたいです。

そのような時は、現場で垂直方向の型枠をうまくずらしながら、5〜10mmのはみ出しを作っていらっしゃいました。

写真は単管と木材でうまく「てこの原理」を働かせ型枠をずらしている風景です。

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実に仕事が細かいですね。

阿部さん、引き続きどうぞ宜しくお願いいたします。

 

本日の報告は以上です。

 

1Fの床が出来上がってくると、いよいよ鉄骨が組み上げられることになると思います。

急に立体感が生まれ、建物ができる実感も湧いてくるのでしょうか。

想像しただけでも楽しみですね。

工事関係者の皆様、引き続き宜しくお願いいたします。