本校の教科教育の特長は、「系統学習」と「総合学習」とをバランスよく実施する点です。
「系統学習」を通して体系だった知識や教養をしっかり習得させると同時に、探究型の「総合学習」を通して時代が求める課題解決型の新しい学力を身に付けさせます。
海城の国語科では、「ことば」を通して、刻々と変化していく「世界」の現状に対応し、他者と関わりながら、自ら生きることを支え、人生を豊かにするような「国語力」を育みたいと考えています。そのために、脈々と受け継がれ「知」を積み上げてきた豊かな日本語に触れ、日本文化の理解を深めたり、他者との様々なコミュニケーションを体験したり、新しい言語世界の創造に立ち会ったりするような知的な活動機会を意識的に計画し、実施することを心掛けています。
そのような「国語力」を鍛え上げる過程で、「聴き合い、話し合う」「読む、書く、考える」などの活動を通して、「からだ」や「こころ」と分かち難く結び付いている「ことば」を自分のものにすることは、心のひだをつくり、自己をつくりあげることにつながると考えます。また、そんな「国語力」は他者と違いを認め合いながら協働し、課題を乗り越えたり、新しい文化を創造したりする力の元となり、様々な分野における学びの基礎となると考えています。
これまで身につけてきた「国語力」を見直すとともに、「ことば」の世界の広がりを実感し、「聴き合い、話し合い、発表する」体験を積み重ねます。
具体的には、口語文法の体系的な学習や、国語辞書を使った学習、漢字検定を利用しての漢字学習などを進めることで、言葉への関心や理解を育みます。古典の世界に触れ、その面白さを知り、現代とのつながりを考えます。百人一首の学習では、学年ごとのかるた大会を実施しています。定期考査ごとに生徒たちが興味をもって読むことができる本を課題図書として提示し、読書習慣の定着を目指します。ドラマの手法などを用いた詩や小説などの体験的な読解、問題解決やコミュニケーションについて体験的に学ぶオンラインワークショップ、俳句や短歌の創作・発表、写真や映像と言葉を結びつけるグループワークなどを行い、感性を磨き、自己認識・他者理解を深め、気持ちや考えを伝え合う力を身につけます。
I期で身につけた「国語力」をさらに発展させるとともに、論理的な思考を可能にする言語活動を行います。また、古典をより深く読み味わうような活動を行います。具体的には、評論文を読み、グループワーク、ディスカッション、プレゼンテーションなどを行い、論理的思考のトレーニングを行います。小説は近現代の様々な作品を幅広く取り上げます。古文・漢文読解の基本事項を学びながら、古典の世界に深く入っていきます。ドラマの手法を用いたワークショップの実施など、体験的な学習も継続・発展させながら行います。他者の言葉をよく聴き、心情を理解し、想像を働かせる力や、自分が感じたことや考えを言葉によって的確に伝えたり表現したりして対話・協働する力を育みます。その一方で、言葉では伝え切れないものもあることも考えさせたいと思っています。
「知」を蓄積させてきた豊かな日本語や日本文化に触れ、自分の立ち位置を知るとともに、現代の「世界」を読み解き、未来への課題と取り組む活動を行います。具体的には、様々な古典作品を読み味わい、その背景にある多様な古典の世界に親しむ。評論や小説の読解を通して、近現代の思考の枠組みを知り、現代の「世界」を読み解く練習をする。また、現代社会が抱える問題を考え、ディスカッションを行ったり、その成果をプレゼンテーションしたり、小論文としてまとめたりする、などの活動を行います。その際、情報の真偽を見極め、編集したり発信したりする力も身につけさせたいと考えています。
高校3年生になってからは、生徒自身の未来に向けて入試問題演習に取り組みます。教員からの解説に加え、記述問題の解答をグループで検討する、互いの解答を添削し合うなど、生徒自身がこれまで培ってきた対話する力、協働する力も活かしながら、入試問題を解く力を身につけます。放課後や長期休暇中には、共通テスト対策や各大学の入試対策など、大学受験に対応した講習が多く設置され希望者が受講しています。
本校中学の教育課程では、全体として総合学習(社会Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)と系統学習(1年次地理・2年次日本史中心の歴史・3年次公民)の2本立てで、生徒の自発的な研究能力、積極的な問題解決能力を育みます。また、高校の教育課程では、中学の基礎の上に立ち、短期的に大学受験に対応する学力を涵養するだけでなく、長期的観点からも長い人生のなかで幅広く社会や世界を理解する深い教養の礎になる思考力と枯渇しない知的好奇心を育みます。
まず、総合学習の「社会Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」では、第Ⅰ期の1・2年次に、生徒自身の発見や学びの楽しさをもとに自主的な研究態度を育みます。具体的には、生徒一人ひとりが興味や関心をもつ社会的な問題を大切にし、生徒自身が研究課題を設定します。そして次の①~③の段階で生徒の力量を高めて第Ⅱ期につなげます。
① 新聞記事や書籍などの文献情報(インターネット情報を含む)の収集・活用に必要な方法論や倫理・常識を徹底する。
② 社会の現場で課題の解決に努める方々に取材をし、自ら調査できる力を修得し、その際の相手に対する礼儀や倫理を徹底する。
③ ①・②を通じて得た情報を充分に分析し、自分の見解を学期ごとのレポートに作成し、また仲間の前で発表し討論して意思疎通や互いに協力し合える力量を修得する。また、随時ディベートを取り入れた討論も行う。
また、系統学習については、生徒の知的好奇心を刺激し、自律的な学習態度を育みます。このため、教員各自が最新の研究成果を織り込んだ深い問題設定および分析を行い、生徒の積極的な授業参加をうながす多様な授業を行います。
総合学習に関しては、仕上げ期にあたる中学3年次の「社会Ⅲ」で、クラスを二分し、個別指導をより充実して「卒業論文」(400字×30枚~50枚が標準)を作成します。
系統学習に関しては、中学3年次の「公民」の定期考査では、論述問題を重んじるなど、総合学習での活動とも連携し、論理的思考力、表現力を育めるよう工夫をします。
さらに、高校1年次には、「公共」と歴史系の「歴史総合」を置き、高校2・3年次の選択科目をより主体的に見通せるよう高校社会科の入門とします。
高校2・3年次には必修・選択科目による系統学習を集中的に実施し、大学入試への対応力を鍛えます。
特に、文科コースでは、複数科目の履修を勧め、将来の進路選択と教養の幅を広げる指導をします。また、理科コースでは、大学入学共通テストで必要な社会科の科目に十分対応し、3年次には各自の受験に利用する科目をより深く学べるようにしています。
なお、大学受験やその後の社会生活を営む上での教養の基礎となる高度な学力を養う2・3年次には学期中および休暇中に、論述問題演習や大学入学共通テスト問題演習などの大学受験に即応した内容の課外講習を数多く開講しています。
数学が得意な生徒にとっても、難しくてなかなか解けない問題は存在します。そういった難しい問題に出会ったとき、興味をもって粘り強く考えていけるような、いわば“意欲の源”を育むことが大切であると私どもは考えます。
ときに、意欲の落ちた生徒から、「数学をなぜ学ぶのですか?」という問いかけを耳にすることがあります。これに対し、各担当者が明確に自己の意見と信念を述べつつ、お互いに考えた上で、質問者が納得し、意欲を再び取り戻せることを指導の目標の一つとしております。
元来、数学はその存在自体に価値があり、美しいものでもあります。言うなれば、数学の“崇高なる美”を感じる心を中学・高校において育みたい、そして、もっと知りたい、探ってみたいという探究の心が、数学学習における原動力となり、自立した学習ができるように願ってやみません。
その振興策の一つとして、平成27年度より学科賞として、優れた研究成果をあげた生徒へ、「松岡文太郎賞」を授与することといたしました。松岡文太郎先生は、確認できる本校最古の数学教員であり、我が国の数学教育に多大なご功績を遺された方です。また、数学教育の国際化も視野に入れ、平成26年度よりモンゴル国私立新モンゴル学園数学科との学科間交流を開始しております。
Ⅰ期においては、授業を代数と幾何に分けて行い、中学校数学を習得します。
代数では、文字式・方程式・不等式を正しく扱えるようにすることと、関数による数式と図形の性質との結び付けができるようにすることを目標としています。また、整数や場合の数の考え方の基礎の習得をも目論んでいます。正しい規則に則り、正確に計算ができることは数学の基本であり、巷間、“読み・書き・計算”と言われるように、文化的素養の基礎とも申せましょう。
幾何においては、直感的なイメージを伝えることを大切にしつつ、定義、公理を明確にし、そこから論証する力を養うことを目標としています。
時代の要請もあり、正しく論証する力の重要性は今後益々高まっていくことでありましょう。そのような背景を鑑み、Ⅰ期の幾何においては、必要最小限の公理のみから出発して種々の初等幾何の定理を理解し、導出できるよう、当数学科が作成したオリジナルテキストを用いて授業を行っています。生徒たちの自由な発想を共有すべく、生徒の発表の機会を多くしています。
Ⅱ期より高校数学を学びます。中学3年生では、高校数学の基礎となる2次関数や三角比、そして確率を扱います。これらの理解が十分であるか否かによって、この先の進路に影響の出てくることが少なくない重要な1年であることを留意すべきでありましょう。
高校1年生では、三角関数、指数・対数関数など、やや抽象色が見られる新しい内容に多く触れます。将来、いかなる分野に進んでも、最先端においては高度な“抽象化”が必要となります。そういった,いわば“新しい概念の導入”の原型をここで学ぶと申せましょう。
また、種々の文献にあたり、生徒が興味ある数学上のトピックを探索、研究して発表するプレゼンテーション授業種々の文献にあたり、生徒が興味ある数学上のトピックを探索、研究して発表するプレゼンテーション授業
高校2年生からは文科コースと理科コースとにクラスが分かれます。文科コースでは、高校2年生の1学期までで数学Ⅱ・B、及びCのベクトルまでの範囲をほぼ終え、それ以降と高校3年生では、複数の分野にまたがるような応用力を要する大学入試問題の演習を行います。
理科コースでは、高校2年生終了時までで数学Ⅲ及びCまでの高校全範囲をほぼ終えます。ここでの目標は、極限の充分な理解と、一般の関数の微分積分の習得です。
また、折に触れて、大学初年級の解析や線形代数の内容に触れます。とりわけ、虚数と自然対数、そして三角関数とをつなぐ“オイラーの公式”の深遠さが心の琴線に触れる生徒が少なくないようです。
高校3年生では発展的な入試問題の演習を行います。
理科は、自然科学について学ぶ教科です。自然といっても、人里離れたところにあるいわゆる自然のみを対象としているわけではなく、身の回りにある様々なものや起きている現象すべてが対象となります。特に現代社会においては、私たちが利用している科学技術や環境問題には理科が大きく関わっており、理科を学ぶことによって得られる知識や経験、そしてそれらを土台として培われた思考力や洞察力は、人生を送るうえで大切な素養となっているとなっていると言えるでしょう。
理科で扱う事柄は多岐にわたっています。その扱うものや現象、アプローチの仕方などの違いから、理科は物理,化学,生物,地学の4科目に分かれており、本校では、それぞれを専門とする教員が該当する科目を主に担当しています。専門的な知識に裏付けされた奥行きのある授業を展開することで、生徒の自然に対する興味や関心を引き出し、好奇心を掻き立てるよう努めています。一方で、それぞれの科目で身につける知識や経験を有機的に結び付けて捉え、分野の垣根を越えて応用していくことも重要であると考えており、各科目の専門性と同時に、科目間のつながりも大切にしています。
物理,化学,生物,地学の4科目を広く学ぶことで、自然科学に対する興味や関心を持ってもらい、ものや現象を広い視野で総合的に捉えるための基礎力を身につけてもらうようにしています。単に知識を頭に詰め込むのではなく、実際にものや現象を見たり触れたりすることを重視し、授業では多くの観察や実験を行うようにしています。それらによって、授業で学んだ内容を身近なもの、現実のものとして、より深く理解することが出来ると考えています。
授業だけではなく、希望者を対象とする工作講習や野外での自然観察会なども行っています。前者ではものを作る楽しみを感じてもらい、また後者では地層や岩石などの観察、河川や森林に住む生物の観察などを通して、学校での机上の学習や実験などからでは得られない、貴重な体験、経験をしてもらっています。
中学1・2年生で学び、体験したことを基にして、例えば実験で見た現象の背後にある理論などを学ぶことによって、得た知識や経験したことに深みを持たせたり、さらに広げて高校の理科へとつなげていったりすることを目指し、引き続き物理,化学,生物,地学の4科目を広く学んでもらっています。Ⅰ期と同様に、実際の体験,経験を重視しており、授業では多くの観察や実験を行うようにしています。 授業とは別に、希望者を対象に研究機関の見学会を行っています。自然科学や科学技術の最先端の研究の現場を見たり、専門家の方のお話をうかがったりすることで、理科に対する興味関心を引き出すだけでなく、高校2年生以降の文理選択や、大学進学、就職など、自分の将来について考える機会になっています。
高校2年生から、文科コースと理科コースとに分かれます。両コースとも、高校1年までの授業をもとに、4科目の中から自分に合った2科目を選択し、履修します。自然科学に対する幅広い教養を身につけ、例えば食の安全のような身近なことから、環境問題や先端技術などの専門的なことまで、様々な事を理解し適切に対応するために必要な知識や論理的に考えられる応用力を養うようにしています。
高校3年生では、より深い教養を身につけると同時に、大学入試に向けての授業になります。入試は大きな関門ですが、ただ点を取れば良い、大学に進学すれば良い、というものだとは考えていません。特に理科コースにおいては、大学に入ってから何を学ぶのか、さらには大学院への進学や就職、その先の人生のことまで視野に入れながら、理科を広く深く学んで多くの知識を身につけることが重要であると考えています。
グローバル化が進み、「国際語」としての英語の重要性がますます高まる中、本校の英語科では、英語をコミュニケーションの手段としてしっかりと使いこなすために「リスニング」、「スピーキング」、「リーディング」、「ライティング」の4技能を総合的に伸ばすことを大きな目標にしています。同時に、言葉そのものへの興味・関心を育てること、異文化を理解し尊重する態度を育てること、自分たち自身の文化についてよりよく知ること、思考力、分析力、推論力を鍛錬し向上させることなども目標としています。私たちは、英語の学習が生徒ひとりひとりの人間としての成長にさまざまな形で貢献すると考えています。
中学1・2年生の指導は、基礎を確実に身につけることに重点を置いています。すべての生徒が確実に今後の学習の土台を築き、英語に苦手意識を持つことのないような授業を展開します。そのために、週4時間の通常クラスによる「英語」に加え、週2時間の「英語演習」ではクラスを分割し、少人数の編成で英会話、語彙、文法事項などの反復練習をきめ細かく行います。教材としては、通常の教科書に加え、市販の単語集、問題集、リスニング教材を活用し、さらに学校独自の冊子やプリントを多数用意して、英語のさまざまな領域の基本が、楽しく効果的に学習できるように工夫をしています。
中学3年・高校1年の段階は、前段階で学習した内容を確認・復習しながら、さらに力を伸ばしていく時期です。ここからの4年間の授業は、より高度な内容を効果的に学習するために、4技能を総合的に扱う授業と、文法を系統的に学びつつ自らが表現する力を養う授業の、2本柱で構成されます。特に高校1年では「論理・表現Ⅰ」の授業でクラスを2分割し、週2時間のうちの1時間をディスカッションの訓練に当てることで、表現力の伸長を目指します。この時間以外でも、作文や口頭発表など、学習者自らが発信する活動をできるだけ多く取り入れることによって、学習内容の定着を図ります。
高校2・3年の段階は、生徒たちが人生の次のステップに進むための、仕上げの時期です。高2では、大学入試の要素を徐々に取り入れつつ、引き続き英語力全般の向上を目指す授業と、文法理解および発信力の一層の洗練を目指す授業を展開します。高3では目前の進路選択を意識し、高度な入試問題に対応できる総合力を錬成する演習と、特に近年多くの場面で要求される、まとまった分量の作文を書くための演習を行います。後者のための授業では、2人の教員がティームティーチングを行い、きめ細かな指導をしながら、単なる入試対応だけにとどまらない英語の運用力を磨いていきます。
本校の保健体育は、中学3単位(武道1単位と保健含む)。高校1年生は体育3単位(武道1単位を含む)、保健1単位。高校2年生は体育2単位(武道と保健は含まず)、保健1単位。高校3年生は体育2単位(武道と保健は含まず)で構成されています。
実技では、6年間を見据えてカリキュラムをバランス良く取り入れて実施しています。中学では各種目の基礎練習を中心に行い、高校では応用練習と実践形式の内容を取り入れています。
武道は中学1年生で選択した柔道または剣道を4年間通して履修します。安全に行うことや相手を尊重する意識を持たせ、終了時は初段合格レベルを目指して取り組んでいます。
保健では、単元毎に様々な情報提供、また応急処置や心肺蘇生法の実践を取り入れ、日常生活に役立つ授業を実施しています。
少年期から青年期へと、心身共に目覚ましい発達を遂げるかけがいのない時期を迎えている中学・高校時代に、生涯を通しての健康を保持増進できるように指導しています。
本校では中学1~3年生と、高校2~3年生の音楽選択者に対して音楽の授業を実施しています。
中学では歌唱、アルトリコーダー、鑑賞(座学)のバランスに注意しながら授業を行っており、特に鑑賞では、クラシック音楽と西洋の歴史を関連させる内容―なぜロマン派の時代ではロマンチックな曲が多く書かれたのか、なぜドイツ・オーストリアの作曲家によって「トルコ」行進曲が作曲されたのかなど―を学んでいます。これによって、単純な好き嫌いとは異なる視点から、音楽を捉えることの大切さ、面白さを生徒に感じてほしいと思っています。
高校では歌唱、合唱を中心とした授業を行っています。これまでにミュージカルの名曲―『Seasons of Love』や『Another Day of Sun』など―、あいみょん作曲、石若雅弥編曲『愛の花』(二部合唱)、本校生徒のためのオリジナル歌唱教材などを扱ってきました。高校2年生、3年生ともなると受験勉強が大変になってきますから、音楽の時間が活動的な息抜きになっているようです。また、大きな声で歌うことへの恥ずかしさもなくなってくるので、音楽室にはとても良い声が響いています。
「時間をかけて作品と向き合う」海城の美術科が長年大切としてきた考えです。表現の手法は時代と共に変化し、AIが生成するイメージも新たな表現領域を築きつつあります。しかし、実際に筆を手にとり、キャンバスを睨みながら自身の表現を形にしていくことでしか得られないものがあることも確かです。制作時の葛藤を含め、美術の授業では作品とそこに含まれる自分自身に向き合う時間を第一に考えています。
中学校では絵画(静物画)から始め、デザイン、工芸といった領域を3年間かけて学びます。高校の美術選択では油画の制作に取り組みます。鑑賞では美術の様々な分野が社会と深く関係し、少なからぬ影響を与えていることを伝えていきます。
本校では、中学校1~3年次において「国語科書写」、高校2〜3年次の書道選択者に対して「芸術科書道」の授業を実施しています。
中学校の「書写」は、国語科の学びの一つであり、長期休みの課題として取り組んでいます。内容的には、字形の整え方や適切な大きさ・配置で書くこと、速書きに便利な「行書」の基礎などを学びます。ICTの普及により、文字を手書きする場面が少なくなった現代だからこそ、自分の文字を見つめながら、より良い書き方を知り、その過程を大切にしていきます。
高等学校の「書道」は、芸術科における一科目です。先人たちの筆跡から多彩な文字造形や筆づかいを学ぶ「臨書」や、その学びを活かし自分の表現を追求する「創作」、自己や他者の作品をみて楽しむ「鑑賞」を通して、書道の魅力に迫ります。また、毛筆や硬筆によって文字を「書く」だけでなく、「篆刻」と呼ばれる、石や木に文字を「刻す」表現にも挑戦し、書道の世界の広がりを体験します。
それらの学習活動を通して、今日まで継承されてきた「東アジア独自の芸術文化」を理解していくことを目指します。
「時代に即した、問題解決型技術教育」をコンセプトに技術の授業を組み立てています。
テクノロジーによって便利になっている世の中を見つめ、これからの社会で求められる「技術の発達を主体的に支える力」「技術革新を牽引する力」を技術教育の2つの柱と考え、必要となる資質・能力の向上を目指します。
A 材料と加工の技術・B 生物育成の技術・C エネルギー変換の技術・D 情報の技術の4つの内容に分かれる技術教育において、海城技術科では「不易と流行」を意識しつつ、時代に合わせた授業内容に日々変化させています。
また、それぞれの内容において以下の流れで全体の構成をし、より高いレベルでの資質・能力の獲得を目指しています。
1 世の中の技術についての原理・法則を理解する。技能の習得をする。
2 生活や世の中から技術に関わる問題を見出して、課題を設定して、問題解決をする。
3 これらの経験をもとに今後の社会の発展と技術のあり方を考える。
具体的な問題解決の例として、2年生で学習するエネルギー変換の内容では、歯車やモータなどを含むブロック教材を活用し、3人1組でプロジェクトチームを組み、世の中の問題を発見し、それを解決する製品の開発(設計・製作)をし、プレゼンテーションを行います。
また、情報の内容では、高校情報との接続を意識しつつ、micro:bit等を活用し、1年時にネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題解決、2年時に計測・制御のプログラミングによる問題解決をテーマとし、プログラミングで世の中の問題の解決を目指します。
人は成長と共に自立し、周りの人々や社会と上手に関わりながら、健康的で自分らしい生活を作り上げなくてはなりません。家庭科ではそのために必要な知識や技術を習得します。さらに、持続可能な生活・環境のための生活課題とどう関わるべきかを学びます。
中学では、3年次に週1時間履修します。住生活の分野では、自分の住居観と向き合いながら、理想の住まいの設計や発表を行います。衣生活の分野では、基礎縫い実習を通して衣服の補修や手入れの知識・技術を学習します。パートナーシップの授業では、自らの性を肯定的に捉え、相手を尊重し責任ある関係性を築ける紳士を目指します。
高校では、1年次に週2時間履修します。食生活分野では食と健康との関係を科学的に理解し、バランス良くかつ安全な食事を選択できることを目指しています。調理実習などの体験学習により、実践する力も養います。家族分野では、少子高齢社会における家族や家庭生活のあり方、子どもや高齢者の暮らしについて考察を深めます。消費生活分野においては、契約の重要性、消費者保護の仕組みについて学びます。また生涯を見通したリスク管理と資産運用など生活設計に関する実践力を養います。これらの学びを通じて社会環境の変化に対応できる自立した生徒を育みたいと考えています。
現代社会において、「情報を学ぶこと」は不可欠なスキルとなっています。将来、生徒たちが活躍する社会では、情報に関する理解と活用が一層重要になることでしょう。情報を学ぶことは、コンピュータの使用方法だけでなく、この世界のさまざまな事象を正確に理解し、他者にわかりやすく伝え、多様な課題に対処する力を養うことを意味します。これらのスキルは、情報通信技術を駆使することで、膨大な情報を効率的に扱い、遠隔地の人々とも瞬時にコミュニケーションを取ることができるようになりました。このような技術は、行政、ビジネス、金融、医療・介護、防災、メディア、教育など、多岐にわたる分野で既に広く活用されており、将来はさらに広い分野で高度なものとなり、人々の生活に浸透していくことでしょう。
本校の情報科では、生徒たちが将来社会で成功するために必要なスキルやマインドセットを養うことを目標としています。情報を正確に分析し理解する方法や情報を的確に他者に伝える方法を身につけるとともに、情報技術の利点とリスクを理解し、倫理的な観点から問題解決に取り組む姿勢を育てます。
本校の情報の授業は、中学3年生と高校1年生でそれぞれ週に1時間の授業を実施します。情報Ⅰの内容を実習形式と講義形式で学習し、1人1台のMacBookを活用して授業を行います。また、コンピュータ教室には実習・プレゼンテーションなどを通して実践的に学ぶことができる環境が整備されています。