理事長 古賀喜博
創立者古賀喜三郎(1845-1914) は、幕末から明治維新へ、そして19世紀から20世紀へと変革の時代を駆け抜けた人物でした。
佐賀藩の若き軍人として活躍していましたが、文久4年20歳の時、藩の修習生として長崎に来航していた英国軍鑑に派遣され、英国海軍士官からの教育を受ける機会を得ました。また明治13年36歳の時には北米への遠洋航海に従事し渡米、我が国と米国の圧倒的な国力の差を、身をもって体験しました。
このような経験から世界に眼が開かれ、多くの人々が藩という意識のまだ強い時代に、国家としての日本を意識しました。そして、我が国が世界の国々の中で発展してゆくためには、優秀な人材を育成することこそが急務だと考え、海軍を退役して海城学園の前身である海軍予備校を設立しました。
創立者は藩を超えて国家を意識しましたが、今21世紀を生きる我々は、国家を超えて地球を意識しなければなりません。将来解決すべき課題は、国家の枠を超えて地球規模の広がりをみせているからです。地球上に存在するあらゆる生物が、将来にわたって安心安全に生存するための準備は、今から始めなければなりません。
では、我々は今何をするべきなのでしょうか。
海城学園は、時代や他者に流されるのではなく、自分で考え、自分で判断し行動する人間、すなわち安心して未来の地球を託せる人材を育成します。
それが海城の教育の目的「新しい紳士」の育成です。
「フェアーな精神」で物事を判断し、「思いやりの心」で人に接する。
「民主主義を守る意思」を強く持ち、「明確に意思を伝える能力」に溢れている。
人間としての品格を身につけた、未来の地球のリーダーです。
海城を巣立った「新しい紳士」達が地球社会で活躍するとき、未来の地球は希望に満ちた星として輝いていると確信します。
海城学園は、創立者の精神を日々進化させながら、将来にわたって脈々と受け継いでまいります。
校長 大迫弘和
帆を上げよ
君
柔らかな海風を受ける帆船の帆を
漕ぎいだせ
君
世界を解き明かすのだ
肉と心を躍動させ
裂けたシャツを自恃とせよ
君は
今
豊饒の大海原に漕ぎ出す
未知なる多様性と邂逅するために
彷徨せよ
君
咆哮せよ
君
神々も
照覧あれ
多様性の唸る波頭に抗う君を
豊饒の大海原では
ポセイドンも
君に微笑むだろう
うねりに
嘔吐せよ
君
それも知恵だ
恥じることなどない
凪だ
見上げよ
雲間のかなたから
二十億光年の光が君を射る
君に
命が重なり
君はもう
一人ではない
君はさらに逞しくなり
母は君を誇るだろう
漕ぎいだせ
君
怖れるな
ただ傍らの友を信じよ
君は
新しい紳士となり
地球を救済するのだ