海城の校章は一見するとK(Kaijo)とS(School)を組み合わせたシンプルなマークに見えます。ですが、実はこのマークはある物をかたどったものであり、そこには戦後新制の学校として再スタートを切った際の先生方の強い思いが込められているのです。では一体このマークは何をかたどっているのでしょうか。海城の「海」との縁に引き寄せて改めて見てみると、Kの縦軸は「船の帆」に、そしてSの曲線はその帆をたわませ船を前へと押し進める「柔らかな海風」に見えてきます。「帆」は「船」を象徴し、船はいずれ大海原すなわち未知なる社会・世界へと旅立つ「生徒たち」のことを暗示しています。一方、船を推し進める「柔らかな海風」は、生徒たちに寄り添い、彼らを柔軟に支援・教育する「教職員」を暗示しているのです。これからの海城は「リベラリズム」を標榜し、生徒たち一人ひとりの自己実現の為に教職員が全力で支援する、そうした思いが込められた校章なのです。
この校章ができたのは、昭和22年。戦後一時的に使われた「海中」という文字をあしらった校章に代えて、これをデザインしたのは着任後間もない美術の新任教諭利根山光人先生でした。先生は後には画業に専念され、メキシコに題材を取った情熱的な絵を数多く描き、「太陽の画家」と称される戦後を代表する画家となられました。 戦前の海城の校章は海軍予備校として創られた学校を象徴する、「錨」にN(Navy )・S(School)のイニシャルをあしらったもので生徒たちの誇りとするものでした。しかし、戦争を放棄した国の学校として、軍隊(海軍)を想起させるこれまでの校章を使い続けることは出来ません。教育の中身と共に校章も変えて、新たな一歩を踏み出すことが求められていたのです。そうした中、才能あふれる若き教員によって創られたのが現在の海城の校章なのです。ですから、この校章には当時の教員たちの、「戦前図らずも軍国主義に加担してきた」という反省と教育再生への強い思いが込められているのです。
今回、ホームページをリニューアルするにあたり、海城の校章に込められている「戦後再発足時の先生方の思い」/「標榜する教育理念(公正基底的リベラリズム)」を表現するべく、「帆(生徒を暗示)」に見立てた図形をモチーフにしたパターンを使用しています。
6種類のストライプは中学1年生から高校3年生までを表すとともに大きさの大小と合わせて「多様性」を、さらにその組み合わせで「共生」と「協働」ということを表現しています。また「生徒を知る」、「先生を知る」、「先輩を知る」の各種コンテンツページは、それぞれ校章のコンセプトに対応した「船」と「風」と「海」をモチーフとしたパターンにページの切り替わりとともに変化していきます。