戦後の新制中学・新制高校発足時の先生方の思いは、利根山光人デザインの新しい校章に込められています。(校章の頁参照)それはすなわち、「生徒各人の幸せ・善きことは生徒各々の自由意思によって選択、実行、実現されるべきであり、教職員はそれを柔軟な姿勢で支援する。」というものでした。
そこで標榜されているのは「リベラリズム(自由主義)」の立場です。ただし、それはなんでもありの「自由至上主義(リバタリアリズム)」としてではなく、「自由」の前提に「公正さ(フェアネス)」を位置付ける「公正基底的リベラリズム」の立場として発展させられました。
肥前佐賀郡出身。1891年11月、私財を投じて海軍予備校、後の海城学園を創設。以来、理事長兼校長として、数多くの人材を育てた。
創設者・古賀喜三郎が若かりし頃、長崎で技術伝習のために乗り込んだ英国軍艦上で見た英国紳士としての士官の儀容。
「新しい紳士」の原型はそこにあります。
この建学の精神は、1891年(明治24年)11月1日の開校式において創設者・古賀喜三郎が、その演説において説かれたものです。
それから百有余年の月日が流れ、グローバル化が進んだ国際社会、価値観が多様化した日本の成熟社会において「有為な人材」とは、「新しい人間力」と「新しい学力」をバランスよく兼ね備えた人材であると考えています。
「新しい人間力」とは、対話的なコミュニケーション能力とコラボレーション能力を兼ね備えた力のことです。これからの社会においては、異質な人間同士が関わって生きていき、また、異質な者同士が集まってお互いの良いところを引き出し合い、高いパフォーマンスを生み出していく、共生、協働の力が求められます。それこそが本校の唱える「新しい人間力」です。
未知の世界に挑戦する「アドベンチャー(冒険)」を核とした体験学習プログラム。中学1・2年の学習に取り入れています。立木や丸太、ロープなどを使った様々な活動の中で、チームで課題に挑み、人間として成長するための「気づき」を得ながら、仲間と信頼関係を築きます。自己との対峙、葛藤、自分自身に対する挑戦、仲間との協力、達成感などを体験しながら、コミュニケーション能力やコラボレーション能力、創造力を高めます。
「ドラマ(演劇)」の手法を用いて体験的に行われる教育プログラム。中学1年の「安全ワークショップ」、2・3年の「コミュニケーション授業」、各授業などで行われています。ある状況や場面下に自分を置き、登場人物の身になって感じたり、役割や立場を入れ替えて考えたりして想像力を鍛えます。グループで演劇を創作、発表する過程で、他者を見出し、自己の身体やこころを感じながら、価値観の違いを尊重する対話的コミュニケーションの方法を学びます。また、効果的なプレゼンテーションの方法も体験的に学びます。
「新しい学力」とは課題設定・解決能力です。システムが複雑化した現代社会には、解決困難な問題が山積しています。こうした問題には、記憶重視の知識獲得型の学力だけではなく、自ら課題を設定し、情報を収集・分析して価値評価し、何らかの解を導き出し、それを分かりやすく人に伝える統合的な能力が必要です。本校ではそうした課題設定・解決の能力を新しい学力の中心に位置づけ育てています。
課題設定・解決型の能力を身につけるために、社会科で導入している探究型の総合学習。自らテーマを設定し、企業や役所などへ取材に行き、文献を調ベ、自分で考え、ディスカッションを行い、自分なりの解を導き出し、レポートにまとめます。テーマは医療制度や商業戦略などさまざま。中学3年時には原稿用紙30〜50枚の卒業論文を1・2学期をかけて書きあげます。その完成度は学外からも高く評価されています。
実験・観察・野外観察を多く取り入れた生徒参加型の授業・講習等が展開されています。例えば、スピーカーの作成(物理)、様々な気体の発生実験(化学)、ブタの各臓器の解剖(生物)、地形・地層の野外観察(地学)など、生徒たちの知的好奇心を刺激するものが多数あり、特に中1では年間半数程度の体験を伴った実験・観察を実施しています。